量の世界とその体系 その2

3 量から数・数詞へ
ですから、<未測量>の世界で十分に遊んだ子は、豊かな遊びの体験の中で、シェマの形成ができていますから、既測量の世界と出逢っても、数量のイメージを具体的に持つことができます。
今、1才時でも数を数える子がいます。
100まで数えられる5才児もたくさんいます。ただ、数えた100がどんな量であるのかは子どもにとって「いっぱい」という概念でしかありません。100も1,000も10,000も同じです。
数量の把握で、数を覚えることが先行してしまいがちですが、数というのはあくまでも「量を表す概念」であって量の後にくるものです。ですから、まず量を感じて、それを数や数詞に結びつけていくことが基本です。

4 実体験としての情報<かずの木>
<かずの木>は一つのトレイが100の量を表し、ひとつひとつのブロックが分離量(数えられる量How many?)を表しています。
同時に他のブロックとくっつくことで一目で他の連続量(量れる量How much?)がが把握できます。また、1と5と10のブロックを使うことで、算用数学の仕組みである10進構造を忠実に表現することもできます。
一皿が10×10の大きさであるのも100を表すと共に、10より大きい(長い)ものが入らないという位取りの仕組みを示したものであります。
幼児教育で大切なことは、理解できそうになってから与えるのではなく、種子に水をまくようにその目の出る前から準備を始めることです。そしてそれは視聴覚に頼る情報ではなく、実体験としての情報を与えることこそ重要なのです。
もともと数は、量を抽象化したものですから、具体的な体験をしないで数量のイメージをきちんと持つ前に文字だけに頼って、突然抽象の世界だけで数量の世界を理解させようとしても、無理があるのは当然のことです。
幼児期には特に教え込まなくても、遊びや日常生活を通じて様々な基礎概念が体得できますから、それを十分にたっぷりやった後に勉強を始めることが望まれます。