5月2回めの活動は、絵本「ジェリーのあーなあーな」を読んでから、円柱をテーマに円弧モザイクで円が重なって円柱になることを見せ、大きな円柱紙管を登場させると、幼児コピカではどのクラスでも、何も言っていないのに皆、穴に入ってゆくからおもしろいですね。子ども達にかかると、なんでも楽しみの童具。くぐる子がいたり、転がす子がいたり、のる子がいたり、中に入って自力で転がってゆく子もいました。そういう、子ども達が自然と遊びを生み出してゆく姿を見る時、これが正に創造力の基本、こんな時間と空間が子どもの成長には必要だとつくづく思います。我々大人がつくった今の社会が子ども達から奪った“3つの間”<時間><空間><仲間>を取り戻してあげたいですね。

円柱紙管でひとしきり遊んでから、次は、大きな画用紙に子ども達が選んだ絵具を落として、その上でローラーのように円柱紙管を転がしました。どうなるかの想像は、大人には大体つきますが、実際にやったことのある方は少ないですよね。アトリエの子ども達も初めての体験に転がった後の絵具の模様を見て「うわあ~っ」と歓声をあげていました。今回の個人作品は、実は、円柱型の方が作品なのですが、下の画用紙も美しく仕上がっていたので紙のマットをつけました。是非、一緒にかざってあげて下さい。
童具やアトリエ活動のテーマは、大きく分けると、三つの形の流れによって構成されています。一つは球体、一つは立方体、もうひとつが円柱です。球は、転がるけれども積むことはできません。立方体は、積めるけれど転がすことはできません。球は曲面で構成されている形であるのに対して、立方体は直面で構成されています。円柱は、積むことも出来、転がすこともできます。また、曲面と直面の両方を内在させています。このように、全く両極にあるこのふたつの形をつなぐものを媒介物といいます。そして球と立方体の媒介物が円柱にあたります。
万物は、球・円柱・紡錘体・立方体の4つの基本形態に集約されます。そしてその基本形体をつなぐ媒介物があるということは、万物が形を通してつながっているということです。子ども達は、アトリエ活動を通して、全ての物につながりのあることを、多様と統一を行き来しながら直観しているのです。
2013.6.(1) アトリエ講師 星野 由香