そもそも字と絵の表現は一体のものだった。
象形文字のいわれや変換などをたどらなくとも
無心に楽しんで字を書いていると
自然に絵になってしまう。
遊ぶ字だ。
そこに生きる喜びがふくれあがってくる。
まさに芸術。
岡本太郎はそう言って数多くの書を遺しました。太郎は、「何の為に絵を描くのか」の答えを得るため、ソルボンヌ大学で哲学、社会学、精神病理学、民族学を学んでいます。先日のピカソクラスでは、彼の書と思いが綴られた“ドキドキしちゃう”を子ども達に見せてから書の活動に入りました。用意された墨と筆を見た瞬間「習字嫌いやのに」「字は苦手」と言っていた子もいましたが、太郎の書を見せると「なんだ、アトリエ的でいいってことね。」と筆を走らせます。ピカソの子ども達の言う“アトリエ的”の意味は、ニュアンスではどういう感じかはわかるのですが、今度、言葉で聞いてみようと思います(笑)。
“100枚は描いたわ”という言葉が気持ちとして大げさではないくらい気持ちよさそうに書いている子ども達を見ていると、私も書いてみたくなり、名前から“星”、なんとなく“楽”をひたすら書いてみました。私は、一番好きな字は?と聞かれると“創”と答えいましたが、実際に筆を持つと“楽”を書くということは、無の状態になった時、本当は“楽”と言う字が好きなのかなのかもしれないなあと思いました。子ども達自身も書いてみることで、その字や言葉が好きになったり、自分の大切にしているものが何なのかを感じたり、今の自分に気づけたりしていたかもしれません。
独・仲間・熱・毎日・道・家など意味あり気なひとひねりある字を選ぶ子、鉄柱・弁慶・銀・議題・販売など、なんで??という字を書く子、愛・心・夢などのありがちな字の子。それぞれが自分にあった字を選択しているのもおもしろい発見でした。5,6年前の私なら、ありがちな字を選んでいる子に対して、もっと自由な発想でいいのに、わくにとらわれないでいいのに、と思っていたかもしれません。でも、ピカソクラスを開校してからアトリエで育ってきた子ども達を見ているうちに、それは私の考えであり、ありがちな物を選ばなければ落ち着かない子もいて、それはその子らしさであり“私は私”を表現しているという意味では同じなのだと思うようになりました。ピカソクラスの子とはそんな話をすることもあるので、アトリエではたとえどんな自分であれ、“自分らしくあることを否定されることはない”ということを子ども達はよく知っています。だからこそ殆どの子ども達が、無心で楽しんでいる岡本太郎の書を見て、おもしろい、やってみたいと思ったのだと思います。
生誕100周年を記念して発売された山下先生が持っている岡本太郎全集24500円もお得だとは思いましたが、書は殆ど載っていません。それを思う書ばかりを集めた“ドキドキしちゃう”945円は財産だと思いました。ほしい方は、絶版になる前に絵本の部屋にある注文書で注文して下さいね。
2013.6.(3) アトリエ講師 星野 由香
象形文字のいわれや変換などをたどらなくとも
無心に楽しんで字を書いていると
自然に絵になってしまう。
遊ぶ字だ。
そこに生きる喜びがふくれあがってくる。
まさに芸術。
岡本太郎はそう言って数多くの書を遺しました。太郎は、「何の為に絵を描くのか」の答えを得るため、ソルボンヌ大学で哲学、社会学、精神病理学、民族学を学んでいます。先日のピカソクラスでは、彼の書と思いが綴られた“ドキドキしちゃう”を子ども達に見せてから書の活動に入りました。用意された墨と筆を見た瞬間「習字嫌いやのに」「字は苦手」と言っていた子もいましたが、太郎の書を見せると「なんだ、アトリエ的でいいってことね。」と筆を走らせます。ピカソの子ども達の言う“アトリエ的”の意味は、ニュアンスではどういう感じかはわかるのですが、今度、言葉で聞いてみようと思います(笑)。
“100枚は描いたわ”という言葉が気持ちとして大げさではないくらい気持ちよさそうに書いている子ども達を見ていると、私も書いてみたくなり、名前から“星”、なんとなく“楽”をひたすら書いてみました。私は、一番好きな字は?と聞かれると“創”と答えいましたが、実際に筆を持つと“楽”を書くということは、無の状態になった時、本当は“楽”と言う字が好きなのかなのかもしれないなあと思いました。子ども達自身も書いてみることで、その字や言葉が好きになったり、自分の大切にしているものが何なのかを感じたり、今の自分に気づけたりしていたかもしれません。
独・仲間・熱・毎日・道・家など意味あり気なひとひねりある字を選ぶ子、鉄柱・弁慶・銀・議題・販売など、なんで??という字を書く子、愛・心・夢などのありがちな字の子。それぞれが自分にあった字を選択しているのもおもしろい発見でした。5,6年前の私なら、ありがちな字を選んでいる子に対して、もっと自由な発想でいいのに、わくにとらわれないでいいのに、と思っていたかもしれません。でも、ピカソクラスを開校してからアトリエで育ってきた子ども達を見ているうちに、それは私の考えであり、ありがちな物を選ばなければ落ち着かない子もいて、それはその子らしさであり“私は私”を表現しているという意味では同じなのだと思うようになりました。ピカソクラスの子とはそんな話をすることもあるので、アトリエではたとえどんな自分であれ、“自分らしくあることを否定されることはない”ということを子ども達はよく知っています。だからこそ殆どの子ども達が、無心で楽しんでいる岡本太郎の書を見て、おもしろい、やってみたいと思ったのだと思います。
生誕100周年を記念して発売された山下先生が持っている岡本太郎全集24500円もお得だとは思いましたが、書は殆ど載っていません。それを思う書ばかりを集めた“ドキドキしちゃう”945円は財産だと思いました。ほしい方は、絶版になる前に絵本の部屋にある注文書で注文して下さいね。
2013.6.(3) アトリエ講師 星野 由香