先日の講演会では、お忙しい中、多数の方にお越し頂きありがとうございました。「来てよかったです。」という感想もたくさんの方から頂きました。また、お子さんがもう大きくなっているお母さんからも、「学校教育についてゆかせなければと思っているうちに、すっかり忘れてしまっていました。今こそ聞けてよかったです。」と言う感想も多くありました。
和久先生が冒頭で話していたように、子どもは皆、自ら生きる力を自分で獲得する力を持っている。初等教育の父ペスタロッチーも幼児教育の父フレーベルもエミールを書いたルソーも、日本の幼児教育を支えた倉橋惣三も、人類史上極めて大きな足跡を残した教育思想家達は皆、同じことを言ってきました。教育者を志した人は必ずこれを学んできています。
私がこの度の講演会でアトリエ講師として気付いたのは、“子どもは本来、自らそこへ向かっている時は、楽しようとか得しようとかで動くことはない。”ということでした。赤一色を背景に40分間、塗り続けていた幼児の話がありました。1つの色を40分間も塗り続けるなんて楽しようとか得しようとかはやく終え終わらせようなんて考えていたら出来ることではありません。
前回の加古川PRの絵画でも、小筆だけであの画面を塗り続けていた
5歳児がいました。皆がおやつを食べている時も、1人で描き続けてい
ます。目にはいっぱい涙が溜まっています。大きな筆を使えばすぐに終
わるのに、何がこの子にそこまでさせるのか。私が途中で「しんどかっ
たら大きな筆をつかっていいよ」と言った時、「大丈夫。最後までやる
。」と答えたので、5歳になった誇りもあり、自分の言葉を全うしてが
んばったのだと思っていました。しかし和久先生が前日にその絵を見て
“絵が語りかけてくるね。小筆で描いたこの線の調子を崩したくなかっ
たんだね。この世界を描きあげたかったんだよ。絵がわかっているなぁ。”
と言っているのを聞いて、私ははっとしました。彼女の心は5歳だから
がんばったとかそんな程度のものではなかったのです。子どものやろう
としていることには全て意味がある。自らやろうとしている子どもの気
持ちがどこへ向かっているのかをくみとり、とことんまでやらせてあげ
る。なにより“自分でやりたい”と言う気持ちを育てること。これが1
番大切なことなのだと肝に命じて子どもと接してゆかなければならない
と強く思いました。
先生が最後に言っていた言葉、やらされているのか、自分から動くのかでは決定的に違ってくる。子ども時代に無我夢中になって生きる喜びを知っている人間は、そうでないと生きている感じがしない。だから自分からそうなろうとする。そして子ども達は皆、そうなろうとして自分が一番そうなれるあり方を常に探し続けている。子どもは皆、答え探しをしている。そんな時に、よかれと思ってもああしたら、こうしたらと大人が声をかけると迷いだす。すると自分の求めている世界ではないからおもしろくなくなって、夢中になれなくなる。
何でもかんでも知る必要はない。ひとつだけでいいから無我夢中になってやっているといつか宇宙へ行く。創造の喜びを体験し、物を生み出すエネルギー(有形、無形は問わず)を知ったとき、人生が自分のものになる。“やりたい”という意志の強さがあれば大丈夫。子どもは本当に大丈夫なんです。子どもの力を信じましょう。
2013.7.(1) アトリエ講師 星野 由香
和久先生が冒頭で話していたように、子どもは皆、自ら生きる力を自分で獲得する力を持っている。初等教育の父ペスタロッチーも幼児教育の父フレーベルもエミールを書いたルソーも、日本の幼児教育を支えた倉橋惣三も、人類史上極めて大きな足跡を残した教育思想家達は皆、同じことを言ってきました。教育者を志した人は必ずこれを学んできています。
私がこの度の講演会でアトリエ講師として気付いたのは、“子どもは本来、自らそこへ向かっている時は、楽しようとか得しようとかで動くことはない。”ということでした。赤一色を背景に40分間、塗り続けていた幼児の話がありました。1つの色を40分間も塗り続けるなんて楽しようとか得しようとかはやく終え終わらせようなんて考えていたら出来ることではありません。
前回の加古川PRの絵画でも、小筆だけであの画面を塗り続けていた
5歳児がいました。皆がおやつを食べている時も、1人で描き続けてい
ます。目にはいっぱい涙が溜まっています。大きな筆を使えばすぐに終
わるのに、何がこの子にそこまでさせるのか。私が途中で「しんどかっ
たら大きな筆をつかっていいよ」と言った時、「大丈夫。最後までやる
。」と答えたので、5歳になった誇りもあり、自分の言葉を全うしてが
んばったのだと思っていました。しかし和久先生が前日にその絵を見て
“絵が語りかけてくるね。小筆で描いたこの線の調子を崩したくなかっ
たんだね。この世界を描きあげたかったんだよ。絵がわかっているなぁ。”
と言っているのを聞いて、私ははっとしました。彼女の心は5歳だから
がんばったとかそんな程度のものではなかったのです。子どものやろう
としていることには全て意味がある。自らやろうとしている子どもの気
持ちがどこへ向かっているのかをくみとり、とことんまでやらせてあげ
る。なにより“自分でやりたい”と言う気持ちを育てること。これが1
番大切なことなのだと肝に命じて子どもと接してゆかなければならない
と強く思いました。
先生が最後に言っていた言葉、やらされているのか、自分から動くのかでは決定的に違ってくる。子ども時代に無我夢中になって生きる喜びを知っている人間は、そうでないと生きている感じがしない。だから自分からそうなろうとする。そして子ども達は皆、そうなろうとして自分が一番そうなれるあり方を常に探し続けている。子どもは皆、答え探しをしている。そんな時に、よかれと思ってもああしたら、こうしたらと大人が声をかけると迷いだす。すると自分の求めている世界ではないからおもしろくなくなって、夢中になれなくなる。
何でもかんでも知る必要はない。ひとつだけでいいから無我夢中になってやっているといつか宇宙へ行く。創造の喜びを体験し、物を生み出すエネルギー(有形、無形は問わず)を知ったとき、人生が自分のものになる。“やりたい”という意志の強さがあれば大丈夫。子どもは本当に大丈夫なんです。子どもの力を信じましょう。
2013.7.(1) アトリエ講師 星野 由香