先日の講演会では、0才児から子どもがどのように育ち、その時脳ではどんなことが起こっているのか、その後の成長にどういう影響してくるのか、そして親子の信頼関係を0才児の時から築くことが脳の発達においても極めて重要であるというこというお話しがありました。
脳の中には、眼窩前頭皮質とういう、やっていいこととやってはいけないこと、やるべきことなどがわかるようになるところがあり、そこは3才までしか発達しない場所で、親からの愛情、親への信頼によって育ってゆくのだそうです。(かなりはしょりましたので、気になる方は調べてみて下さい。)長年子どもとお母さんを見てきて、親を含め大人を信頼している子とそうでない子がなんとなくわかる時があります。小さい時から嫌なことをやらされてきている子は、アトリエに体験参加に来ても、活動を楽しめるまでに時間がかかります。多分、ここで大人にのってしまったらまた嫌なことをさせられると思っているからなのだろうと思います。

遊びは子ども達にとって自発的におこなわれるものです。遊んでいるうちに真剣になり、時を忘れて忘我している幼子の姿は、日常生活の中で何度も目にしていることと思います。自然が自分から悪い方向へとは進まないのと同じで、幼子も、大人が不自然なことをしなければ、悪い方向へ自ら向かっていったりはしません。幼い子ども達のやること(遊び)には全て意味があり、彼らにとってそれは必要なことであるからやっています。

和久先生もこれだけはわかってほしいと言っていましたが、やりたくてやっていることと、やらされていることは、天と地ほども違う、やらされてそこで学び得ることは、やりたくてやっている子の百分の一と言っていいくらいのレベル。いやいやながらやっていることは、深まってゆかないし、つながってゆかない。早く終わらせたいから言われたことだけしたら終わってしまう。でも、やりたくてやっていることは、好きなことだから集中する。集中すると人間の能力は掛け算になる。あらゆるものにつながってゆく。だから子どもが好きなことに出逢うのはとても大事。私達にできるのは、子どもが何に無我夢中になれるのかを見つけてあげること。世の中には楽しいことがいっぱいあることを知ってほしい。
最近、採点官のようにわが子を見ているお母さんに出会う。そんな子どもは母の目をいつも気にしている。お母さんがどう思うかが、物事を行う時の第一優先順位にきているから、何かに没頭することが出来ない。あたたかい目で見られているかどうか子どもにはわかる。親を信頼している子は、安心して自分の好きなことに集中できる。信頼できる大人に出逢うことは子どもにとって非常に重要。
箇条書きのようになってしまいましたが、そのようなことを話されていました。お母さんの感想で一番多かったのは、「あったかい目で見られているかどうか子どもにはわかる」という先生の言葉にドキッとしましたということでした。
和久先生の講演は、基本的なことは話さなくてはいけないので毎回同じ話もありますが、この度の講演は、子どものことだけでなく人間の本質に訴えてくるお話しで、私も身を乗り出して聞いてしまいました。何回聞いても先生の言葉がそうさせるのは、子ども達のことをもっと知りたいという気持ちと学ぶ喜びなのだと思います。子ども達が本来、勉強が好きなように、私達も学びたい、知りたいという欲求を魂の根源にもっています。そしてしったことをやってみたい。やってみたことによって新たな発見をして世界が広がり深まってゆく。それが、私達大人ももっている創造欲求。人間は何かをやる為に生きています。子ども達が創造的に生きてゆけるように私達は応援団になり、私達とは違う考え方をもつ一つの生命として子ども達を見守ってゆきましょう。
2013.11.(1) アトリエ講師 星野 由香