前回のアトリエは、風船が大活躍。1才半の赤ちゃんからピカソクラスの6年生まで汗だくになって楽しみました。厚くて上着を脱いでやっていた子も多く(中には上半身裸の子も^^)忘れ物の多い一週間でした。入り口の横の棚においてますので、今週お持ち帰り下さいね。
思いっきり遊んだ後は、その風船にギブスなどに使われている石こうテープを水に浸してから貼りつけ、リキテックスを水で溶いたものをスプレーして着色しました。入口部分が空いていますので、ランプシェードとしてもお使い頂いてもきれいです。

今年の秋入会の親子コピカは1才児さんが多く、前年度のクラスで一番小さかった子ども達が急にお兄ちゃん、お姉ちゃんに見え、この一年の子ども達の確かな成長に目頭が熱くなる思いです。殆どの子が2人めさんで、生まれた時から上の子について来てアトリエにも慣れ、もの心が育つ前から童具環境・絵本環境が揃っている子が多いから実際にアトリエで活動するようになり、その姿に驚かされています。
特に私が興味深く感じるのは、アトリエ活動に集中している姿だけでなく大人の話を聞く時の彼らの表情です。一人一人の目を見て話しかけると、一瞬、目をそらしてじっととまり、何を言われたのかを考えているようなしぐさをします。専門的なことはわかりませんが、多分、本当にそう考えているのだと思います。その瞬間に、自分なりに大人の言葉を一旦咀嚼しているんだろうと、どの子にも見られる表情に感じました。そのしぐさがまさに「耳を傾けて」いて、「人の話に耳を傾ける」という言葉は、赤ちゃんのこうした姿から比喩されたのではないかと思うくらいです。
赤ちゃんがそんなしぐさを見せるのも、その瞬間をお母さんが余裕をもって待ってあげているからでしょう。愛情のこもった語りかけ、働きかけを生まれた時からいっぱいしてもらったからだと思います。
言語活動がはじまると赤ちゃんの創造活動も劇的に変化し、その相互作用によりあらゆる能力が発達してゆきます。日常生活での絵本の読み聞かせや、わらべうた、子守唄、あやし言葉などの語りかけ、またボールや積木による働きかけ、お散歩や砂遊びなどの外遊びなどの、心のこもった語りかけ、働きかけがその成長をうながします。幼い子ども達にとっては全てが遊びです。“遊びながら学べる”というアトリエのコンセプトは、とても理想的のようによく言われますが、それは理想というより現実なのです。
幼い子どもの世界では、遊びと学びはわけられるものではなく、なんの矛盾もなく同時に行われています。ただ、遊びは本来、自発的に行われるものです。やらされているのではなく、自らそこへむかうことで、より学びは豊かになります。これはとてもとても大切なことです。それがやらせる教育とアトリエとの大きな違いです。
だからこそ子ども達の「遊びの世界」をより豊かなものとする為には、日常生活の中に環境を整えることが重要です。アトリエ活動は、アトリエでしかできない事もありますが、例えば前回のように、ボールや風船をつかった活動の後は、おうちで同じように風船で遊んだり、積木の活動の後に、お母さんと同じものをつくってみたり、ご家庭でできる遊びのヒントもたくさんありますので、是非、ご家庭での遊びの中にもアトリエ活動を生かして下さいね。
そして、1歳児の「耳を傾ける」姿に学び、私達も子ども達のお話に最後まで耳を傾けて、子ども達の心をひろってあげたいですね。
2012.11.(1) アトリエ講師 星野 由香