先週のピカソクラスでは、正三角形の外接円で、製図を描いてみてから、用意していた型紙を使って、正20面体BALLのランプシェードを作りました。

まずは、コンパスと定規だけを使って六角形の作成。これは高学年はなんなくクリア。はじめてコンパスを持つ3年生も、講師の助言を聞きながら、見よう見まねで描いていました。そこから、どうやってこの図面を描くのかを説明しましたが、一部の高学年には、「対角線を引いてできた正三角形に、外接円を描くにはどうすればいい?」と聞いてみました。その為には、正三角形の中心点を確定しなければなりません。学校の図形問題のように聞いたわけではありませんが、理論派の子からは、「そんなん対称軸をひけば、その交差するところが中心点やん。」と言う意見や、写真(3)のように、前記の六角形に正三角形を逆向きに2つ描いて、その交差点が中心点になるという子や、半径の1/2に、コンパスを合わせ、円を描いているうちに中心点を見つけた子など、色々でした。(いずれも高学年です。)それにかかった時間はわずか3分程。見事です。鳥肌が立つ程感動しました。アトリエには色んな子がいますから、そういうタイプの子だけでなく、中心点や外接円など、どこ吹く風で、作図した六角形を利用して、コンパスや定規で「これ、おもしろいな。」と、どんどんパターンを作って、デザインを楽しむ子もいました。それはそれで、発見の尽きない世界であり、答えが必要な時には、導き出すことはできるだろうと考えさせられました。

また、アトリエの子の大半は、図形好きですが、たまに図形嫌いの子もいます。そういう子は、机に用意してあるコンパスと定規を見た途端、“どん引き”(^^) でも、つくることや、描くことは好きなので、作成になると、センスで正20面体を作れたりします。六角形を描くより、そっちの方が難しいのですが。(^_^) 得意なことが、苦手なことを克服してくれています。
そんな色んな子ども達の姿を見ていると、同じことをするにしても、子どもにより、使っている脳が違うんだなあ、と感じさせられました。そう思うと、得意なこと=好きなこと・興味のあること、苦手なこと=嫌いなこと・興味のないことなので、教育の世界でよく言われる、「お子さんが好きなこと、興味を持つことを伸ばしてあげましょう。」というのはやはり正しいのだろうと思います。苦手なことを、無理に克服させようとして、自信を失わせるよりも、得意なことのできる環境をつくり、その世界を広げ、深めていくうちに、得意なことが苦手なことを克服する、また、いつしか苦手なことも、自分の得意な世界とつながりがあることに気付いてゆくことの方が、子どもの世界は豊かになり、子育ても楽しいものになるのかもしれません。

この度の正20面体は、まず、5枚一組で五角形にして貼り合わせたものを3つ、
4枚一組の正三角形にして貼り合わせたものを1つ作ってから、正20面体に組み合わせました。(ライトが入る場所を空けるので、合計19枚。)他にも、展開図を描いて組み合わせる方法でも良いと思います。
今回は、完成度の関係がありますから、スティックのりを使いましたが、多面体を作ることが目的なら、ホッチキスで留めると、簡単に作ることができます。正三角形に限らず、外接円を描いて貼り合わせる方法なら、他にも色々な多面体が作れますので夏休みの自由研究の参考にもできますね。
是非、色々挑戦してみて下さい。
(色画用紙で作ると、ライトを入れたとき、ステンドグラスのように美しく仕上がります。)
2012.5.(2) アトリエ講師 星野 由香