正三角形 10枚
平行四辺形 1枚
等脚台形 1枚
鈍角二等辺三角形 3枚
直角不等辺三角形 3枚
注:正三角形の一辺は3cm 他の形も3cm基尺
問1. 上記のパーツを全て使い、それぞれ組み合わせの違う一辺6cmの正三角形を
6個つくりなさい。
問2. 上記のパーツを全て使い、正六角形をつくりなさい。
問3. 上記のパーツを全て使い、長方形をつくりなさい。一辺の長さは問いません。
先週の小学校2年生までの幼小コピカでは、勉強系的に書くと(^^)、前半はこういう活動をしました。こうやって書いてみると、アトリエの子達は相当すごいことをやっていますよね。もしかすると、お勉強系の習い事よりレベルは高いかもしれません。いずれ習うことを先にやっているのではなくて、大人でもできないことをやっているのですから。紙面で見ると考える気も起こらないのですが、アトリエでは実際の形(ケルンモザイク)に触れて行うので、子ども達は一目瞭然に60度の世界を直観します。

その後、正三角形からできる正多面体を見せてから、石こうを水で溶き、型を流し入れ、化学反応で固まる間に、更に難しい正三角形の構成に2人組で挑戦。実はこっちが本番。問1~3までは練習です。本番は3cm基尺と4.5cm基尺を混ぜてあるので、例えば 3cm×6 = 4.5cm×4 と言うように一辺を公倍数であわせ、しかも三方向に考えなくてはなりません。その上、それぞれに5種類の形を使っていますから、それも合わせていく必要があります。どう考えても難しすぎるでしょう?多少のアドバイスがあったとしてもやり遂げるまで頑張った子ども達にほとほと感心しました。いくらアトリエの子は考えることが好きと言っても、ノーヒントでやっていた小学1・2年生は、できた瞬間“やったぁ~!!”と言うよりは“バタッ”と倒れていました。
私がもう一つ、この子達はすごいなあと思ったのは、求められていることが講師の言葉の説明で理解できているという事です。問1は正三角形4つで1辺6cmの正三角形を作ってから「この三角形と同じ大きさの三角をあと5個、違う組み合わせでつくってみて」と言いました。パーツはワンセットにして渡してあります。私はそれで理解する子ども達が本当に不思議でした。お母さん達に活動の説明をした時も、子ども達にした説明と同じですが、大抵の方は正確な意味は分からなかったと思います。それが普通です。子ども達が分かるのが不思議ですよね?読み聞かせや読書で言葉を聞く力が育っていると言っても、それだけではないように思えました。
また、今回の2人組みは、年長さん、1・2年生には年下の子と組んでもらったのですが、皆、優しいんです。緊張している小さい子にわざと空間を空けてその子に入れさせてあげたり、最後の1枚を渡して花を持たせてあげたり、いかに心を傷つけずに正解へ導くかを気づかったり、まるで、私の求めるアトリエ講師のような姿でした。子どもは大人のことをしっかり見ていますね。子ども達がアトリエで学んでいることのひとつだと思いました。
正三角形の構成が完成してから、固まった石こうの正四面体を取り出し、水で溶いたリキテックスを何層も重ね合わせて着色。こちらもどうしてこんなに美しい世界がつくれるのか、理解不可能なくらいの完成度。それは皆さんのご覧頂いたとおりです。子ども達は、色の変化と石こうの質感、あまり目にすることのない正四面体の世界を楽しみながら色を塗り続けていました。わくわく創造アトリエは知的創造活動と美的創造活動を融合して表現することの好きな子、考えることの好きな子を育てるために生まれました。それは子ども達が自然に求める“楽しい”から始まります。ですから、子ども達は、難しい活動=考える と捉えているので、安心してアトリエの活動に取り組めているのだと思います。
アトリエは形をテーマにしているので、積木やケルンモザイクは毎回のように登場します。また「形のつながり」を子ども達に直観してもらうのはアトリエ活動の目的でもあります。(詳しくは以前お配りしたDVD『なぜアトリエは形のつながりを大切にしているのか』をご覧下さい)
是非、充実したアトリエ活動を行うためにも、積木のいろは、ケルンモザイクセットをご家庭での童具環境として揃えて頂ければと思います。
2012.1.(2) アトリエ講師 星野 由香