先週は、親子コピカはエリックカールの「くもさんおへんじどうしたの?」、幼小コピカはアフリカ民話、ガーナの昔話「アナンシと6ぴきのむすこたち」を読んでからピンボード六角(会員価格¥3,500 カラーゴム付)をつかってくもの巣づくりをして遊びました。「アナンシ」は単純なお話しなのに、意外なくらいに子ども達が身を乗り出して聞いていました。活動が終わってから、絵本のページをめくっている子も多く、やはりどこの国でも民族に語り継がれている昔話は、子ども達の心を惹きつけるのだなあと思いました。独特の色彩も魅力です。
前回は、正三角形がテーマだったのですが、人間社会には正四角形の世界が多く、日常生活の中では直角をよく目にしますが、自然界には球や円柱、また六角形を感じさせる世界がたくさんあります。雪の結晶、亀の甲羅、くもの巣、遺伝子。大地と共に生きている民族の建物、パオやゲル、ティピ。なんと言ってもピラミッドなど正三角形60°の世界が多いのは、もしかするとその方が自然の理にかなっているのかもしれません。
私の想像ですが、今のように正確な長さや角度の測定方法が多様でなかった時代、辺の長さが同じである正三角形の方がつくりやすかった(理解しやすかった?)のかもしれないなあと、子ども達の活動を見ていて感じることがあります。
幼小コピカでは、正三角形を6枚つないで大きな正六角形をつくり、そこにそれぞれ黒テープを貼って画面をつくって着色したのですが、正三角形を意識した模様にする子が圧倒的に多く、また、ピンボードはそれぞれの表現の仕方は違いますが、六角のボードを使うと、自然と正六角形の世界を感じとっていました。(親子コピカの子ども達がずうっと同じところにゴムをかけるあの執着心は何でしょうね?)
しかし、子どものおもちゃの中には、正確に六角形の世界を表現できるようにつくられたものがあまりありません。和久先生の童具、ケルンモザイクには六角グループの正三角形が用意されており、全て正六角形がつくれるようになっています。アトリエでも時々、活動でやりますが、60°の世界には30°も存在するので、直角の世界もつくりだすこともできます。また、ピンボードは点と点をつないで線を、線と線をつないで面を感じさせる大切な童具です。
3年生になり、計算はできるのに図形でつまずく、という子が多く、説明してもなかなか理解ができないというお話をよく聞きますが、紙や黒板では説明する方も難しいのですから、説明される側の子ども達が理解しにくいのは当然であり、実際に実物でその世界で遊んできた子ども達との差は歴然としたものになるのではないかと思います。アトリエでやっていることは、それが目的ではないのですが、自由を保証する為の秩序として、幾何学的法則、数量的法則が内在していますから、アトリエに通う子、童具でよく遊んでいる子は、“算数が得意”という子が多く、こと図形に関しては群を抜いていると聞いています。“それが目的”になってしまうと、本末転倒ですけれども、どんな子ども達もパズルが大好きになるように、もともと子どもは形で遊ぶのが大好きなんだと思います。ピッタリはまると嬉しい!っていうのは、人間の本能ですものね。是非、アトリエの活動を充実したものにしてゆく為にも点から線(ピンボード)、線から面(ケルンモザイク)、面から立体(積木)の最初の童具、“ピンボード(¥3,500 カラーゴム付)”はご家庭でも遊んで下さい。
2011.1.(3) アトリエ講師 星野 由香