先週は、アトリエらしいアーティスティックな作品の続出でしたね。冬アトリエの期間中は、ひとつのカリキュラムに230名程の子ども達が参加することになるので、今回のような特殊な機械部品はなかなか十分に揃えることができないのですが、この度は高砂で“パソコンのおいしゃさん”をやっていらっしゃるお父さんをはじめ、多数の方に御協力頂き揃えることができました。ありがとうございます。「この部品はパソコンを分解したんだよ。」と言うと、子ども達は「えーっ」と驚きながら、興味津々に素材を物色していました。

今回の活動は、はじめにケルンモザイクでみたて遊びをして、イメージをつくり、子ども達がベニヤ板に描いたクリスマスツリーをカットして、そこに紙粘土を敷き詰め、機械部品や色んな素材を貼り付けて、リキテックスで着色し、ゴールドとシルバーで仕上げをしました。ツリーの形も、バオバブみたいな形から、やしの木型など色々あってとてもかわいかったですね。粘土を貼っている時に子ども達を見ていて感じたのですが、それをひとつとっても、その子の性格があらわれます。先に貼れた子から部品を選べること(活動の流れとして)を直観し、急ピッチで超適当に粘土を貼り付け、珍しい形を我先にと選んでゆく要領のよい子。「粘土は見えなくなるからそんなに丁寧にしなくていいよ」と言っても、そう言われても綺麗にしないと気のすまない几帳面な子。後で素材を貼ることを考え、貼る場所を決め、計画をたててからじゃないと始まらない子。粘土ひとつ貼るにしても、それぞれに特徴があり、どの子をとっても、この世の中に必要な人材であり、色んな人がいて助け合って、力を合わせて、この世の中は成り立っているんだなあということを感じました。
そう思うと、その子の悪いところに目を向けて、それを直そうとするよりも、その子の持っているいいところを子どもの頃から伸ばしてあげる方が、親にとっても、子どもにとっても、周囲の人や社会にとっても、その方がずっといいですよね。また、子どもの特徴も前向きに見れば良いところとなり、悪く見ればいくらでもそう見えてきます。そもそも大人がその子の悪いところだと思っていることは、実はいいところだったりすることもあるかもしれません。そう考えた時、今その瞬間の子どもをそのまま受け入れ、親の育てたいように子どもを育てる教育ではなく、子どもが育ちたいように育ててゆくこの共育は、ソフトなようで、実はとても深い人間が生きてゆくうえの精神哲学がそこにあるように思えます。それは本当に人間としてダメということをした時以外は(そういうことはあまりないのですが)、子ども達一人一人が、その子らしくいられるアトリエであり続けたいと思います。
私は今年一年の活動と子ども達の成長を見てきて、自分自身はまだまだですが、この共育には、これまで以上にゆるぎない確信と自信を感じています。
絵本(読書)、積木、創造共育のどれをとっても、それを否定する学者も教育者もまずいません。その中でも、ほるぷ子ども図書館・和久洋三の積木・アトリエ活動は徹底した本物です。この共育に出会ったお父さん、お母さんの殆どが「私もやってみたい」「子どもがもっと小さい頃に出会いたかった」「私が子どもの時にこういう教育があったら」とおっしゃって下さいます。誰もが認める教育でありながら、この教育に出会える子ども達はほんのわずか。私と子ども達の成長を青年になるまで見届けたいと心から思います。山下先生はその為に長生きするそうですよ。(笑)
この共育への信頼、お父さん・お母さんの信頼。何よりも誰よりも子ども達との信頼関係。その信頼たるにふさわしい人間になれるように、今年も最後まで、また来年も学び続けたいと思います。
今週で通常のアトリエが今年最後となりました。皆様、良いお年をお過ごし下さい。来年もよろしくお願い致します。
2010.12.(3) アトリエ講師 星野 由香