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この度の顔の絵は、幼児、小学1,2年生のど迫力の作品に目を見張ったり、その子らしさがそのまま現れている作品に微笑ましくなったり、“顔”というテーマは、色んな表現の仕方があるなと思いました。
導入では、色んな形に切った顔型にくむくむのパーツや円弧モザイク、森のつみ樹などをつかっておもしろい顔をつくっていたのですが、それもとても楽しみました。絵画に時間がかかるので、あまり時間をとれなかったのが心残り。画用紙で顔型をつくってあげるだけで遊び気分があがりますので、おうちでもやってみて下さい。柳原良平さんの絵本「かおかおどんなかお」を参考にすると盛り上がりますよ。

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今回は“顔”を自由に描くという課題でしたが、何にもないと戸惑うので、巨匠の名画や、有名イラストレーターの絵を用意しました。ピカソ、モディリアーニ、ミロ、クレー、マリ―ローランサン、写楽、草間、奈良美智、岡本太郎などの中から好きな名画を選び、まねしたっていいし、参考にしてもいいし、自分の好きなように描いてもいいよ、とはじめました。幼児は、絵を横において観察はしていましたが、描き始めたら自由、小学1,2年生は模写する子、参考にする子が殆どでしたが、出来上がりはみんな全く違います。

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私は、模写はアトリエ的でないかもしれないと考えていましたが、子ども達が真剣に絵をじっくり見て観察している姿を見ていると、こういう活動がなければこの子達が幼、小の時期に巨匠の名画とこれ程向き合う機会はなかったかもしれない、これもアトリエに通っているからこその体験だと思いました。また、名画に魅かれてゆく子ども達の真贋と、やはり本物は子どもの心をとらえるのだと考えさせられました。子どもは何がテーマでも大人を感動させてくれます。

今回、やられたなあと思ったのは、右端のK君の絵。常に息もつけぬ程のエネルギーを感じる作品を見続けてきているので、Kくんの絵を見た時、ほっと一息つけるものがありました。Kくんはこの日、名画を選びませんでした。気に入ったのがなかったのか、難しいと思ったのか、まねしなきゃいけないと思ったのか、それはわからなかったのですが、いざ画面を前にするとたんたんと描きあげてゆきました。本人を知っているとよくわかるんですが、まさに“KくんたるKくんの絵なんです。Kくんのふわあっとした感じとある意味、頑固なまでの意思の強さの両方を感じます。こんな絵をみせられると、あなたはそれでいい、そのままでいいと思います。100人いれば100こたえ、みんな違ってみんないい、子どもだけでなく、お父さんもお母さんもそのままでいい、その上で子ども達を共に見守り、共に育ててゆきましょう。




2014.10.(3) アトリエ講師 星野 由香