新年あけましておめでとうございます。皆さん、いいお正月をすごされましたでしょうか?私は、本年度開催する関西初の童具子育て講座の準備の為、兵庫県全域の幼稚園・保育園の宛名書きと資料の梱包に大格闘の毎日をすごしていました。丸2日あればできると思っていたのですが甘かった・・・。元旦から、丸5日間すべてかかってしまいました。
童具子育て講座は、わくわく創造アトリエの講師や童具アドバイザーの資格をとる為の講座で、毎年、東京で行なわれています。今回の講座では造形活動はありませんが、全部で4日間の講座で、積木をはじめ、球、の実践と理論を和久先生から直接学びます。東京の講座は4日間で120,000円。講師になる為には別に講師認定講座189,000円を受ける必要があります。それが今回の講座では、テキスト代を入れても89,160円。皆さんが参加する場合は、テキストを持っているので参加費の60,000円のみでお申込み頂けます。造形活動はないとは言え、かなり充実した講座となっています。すでに岡山や広島、九州などでは、数年前から開催されていてたくさんの方が参加されています。教育関係者を対象とした講座ですが、誰でも参加できますので、ご興味のある方は、是非、2月1日(日)の講座説明会にいらして下さい。
・2月1日(日) 講座説明会
(1) 5月9日(土) (2)5月10日(日) (3)6月13日(土) (4)6月14日(日)
(1) から(4)の4日間が講座費60,000円となっております。
2021年から大学入試改革が行なわれ、知識偏重から知識活用型へ、思考力中心へと教育は大改革が行なわれることになりました。今の小学生は、全員この入試方法になります。何度もアトリエ通信で書いてきましたが、このままではいけないと誰もが思っていたのだと思います。
この改革は、色んな問題を伴うことは予想され、難しいことだと思われますが、まずは、はじめなくてはならないと感じます。
ある教育関係者との話の中で、“思考力の採点などできない。ましてや大人に思考力がないのに誰が評価するんだ”という意見を聞いて、それも問題のひとつになってゆくだろうと思いました。
それと、思考力をどう育ててゆくのかという問題もあります。
5年前の白陵中学の数学の入試問題で、正方形8枚の組み合わせの図形が30パターン程書いてあり、「この中から立方体の展開図となり、更に、ひとふで書きができるものを選びなさい」という問題がありました。
こういうのは思考力問題に区分されます。(多分。)実際、こういう問題が増えていると聞きました。これを知識の詰め込みや暗記力や訓練で乗り切ろうとしたら、それこそ膨大な勉強量が必要です。受験の為に幼児の頃から勉強してきたからといってできる問題でもないですよね。ですが、こういう問題は、できる子にとっては簡単なことで、この問題が難しいとは感じないはずです。ピカソクラスの子達なら喜んでやりそうだと思いました。だけど、こういう力を受験の為にあえて色んな科目で身につけようとしたら、それは難しいだろうと思います。
教育の目的が“受験”にある限り、思考力は育ちようがない気がします。きっと思考力が育つ塾とか習い事とかこれからできてゆくのでしょうね。もう、いい加減、世間の大人は目を覚ましたらどうかと思いますが、これからそこをねらった幼児教室が続々とでてきそうな気がします。
どうすれば思考力が育つのか?その答えはもう昔からでていて、それは、興味のあること好きなことを思いっきりやらせてあげることです。(能動的なことで)
これは教育の立場からでも脳科学・心理学の立場からでもどんな学者も言い続けていることです。興味をもっていたことなら自分からどんどんやってゆきますから、たとえ失敗しても試行錯誤をくり返します。自分から考えはじめます。やり遂げる為には苦しみもいとわず成就するまで考え続けその達成感を知ってゆきます。考えることが好きになれば、思考力は自然と育ってゆきます。“考えるのが好きな子”になってゆきます。
それとどうしてもはずせないのが読書です。(読み聞かせです。)知識を蓄えるための読書じゃなくて、色んな物語を読んで、色んな人達、生きとし生けるものの気持ちになって思考を深めてゆくこと、色んな考えがあって、色んな生き様があることを知ってゆくこと。私は、無理にでも子ども達に本を読む機会をつくってゆかなければと思っています。
幸いアトリエの子ども達は、一人、また一人と本を読む子に育ってくれています。アトリエでは、周りの子が読むので、それに影響されて読むようになっていった子も多いです。
今、あまりにも人間の思考が浅くなっていることを思わずにはいられません。効率を求める社会がひきおこしてしまったことなのか。何もかもの展開がはやく、すぐに結果が出てしまい、考える間もなく次の展開がはじまってゆく。そんな事が多すぎます。 お正月のテレビ番組では、インスタグラムで写真をあげると、有名人だからかもしれないけど、ものの数秒で3000件くらいの“いいね”が返ってきていました。その方は18万人の友達がいるそうです。(フェイスブックの出現以来、“友達”の日本語は別のものになってしまいましたね。) その“いいね”ボタンを押す瞬間、何も考えていないわけです。考える必要のない世界がそこに存在します。しかも写真と絵文字だけですから、言葉もいりません。考えることも言葉もいらない世界が、若い人達のコミュニケーションの主流となっています。それは、本当はとても怖いことだけれど、かと言って時代の流れを止めることはできませんし、時代の流れとして必要であることも認めなくてはなりません。
しかしそれとこれとは別であることをしっかり理解できる人間、その世界だけに流されてしまわない人間に育ってほしいと思います。
おそろしいスピードで進んでゆくこの世界にのみこまれてしまわないことは、並大抵じゃありません。豊かな言葉と深い思考力が必要です。豊かな言葉にたくさん触れてほしい。柳田那男さんの“みんな絵本から”という言葉には、そんな意味があるのだと実感しました。 “考えること” と “豊かな言葉” それがいらない世界にしてはいけない。考えることも言葉も、何をするにも必要なことです。
自然に生きるにも、人と人との出会いの中でも、音楽でもスポーツでも、学問するにも、学歴で生きるにしても。 なんでもできる子にしなくていいから、高学歴にしなくてもいから “考えることが大好きな子” “豊かな言葉をもつ子” そして何より 心を育ててゆきましょう。必ず生きる力となってゆきます。自分で生きる道を自分で決められる子になってゆきます。
今回のこともそうですが、社会も必ずそのことに気付きます。
子ども達が豊かな人生を歩めるように、今年も育ってゆく子ども達を見守ってゆきましょう。そして、私たち大人も、子ども達に負けないように共に学びを深めてゆければと思います。
今年もよろしくお願い致します。
2015.1.(1) アトリエ講師 星野 由香
童具子育て講座は、わくわく創造アトリエの講師や童具アドバイザーの資格をとる為の講座で、毎年、東京で行なわれています。今回の講座では造形活動はありませんが、全部で4日間の講座で、積木をはじめ、球、の実践と理論を和久先生から直接学びます。東京の講座は4日間で120,000円。講師になる為には別に講師認定講座189,000円を受ける必要があります。それが今回の講座では、テキスト代を入れても89,160円。皆さんが参加する場合は、テキストを持っているので参加費の60,000円のみでお申込み頂けます。造形活動はないとは言え、かなり充実した講座となっています。すでに岡山や広島、九州などでは、数年前から開催されていてたくさんの方が参加されています。教育関係者を対象とした講座ですが、誰でも参加できますので、ご興味のある方は、是非、2月1日(日)の講座説明会にいらして下さい。
・2月1日(日) 講座説明会
(1) 5月9日(土) (2)5月10日(日) (3)6月13日(土) (4)6月14日(日)
(1) から(4)の4日間が講座費60,000円となっております。
2021年から大学入試改革が行なわれ、知識偏重から知識活用型へ、思考力中心へと教育は大改革が行なわれることになりました。今の小学生は、全員この入試方法になります。何度もアトリエ通信で書いてきましたが、このままではいけないと誰もが思っていたのだと思います。
この改革は、色んな問題を伴うことは予想され、難しいことだと思われますが、まずは、はじめなくてはならないと感じます。
ある教育関係者との話の中で、“思考力の採点などできない。ましてや大人に思考力がないのに誰が評価するんだ”という意見を聞いて、それも問題のひとつになってゆくだろうと思いました。
それと、思考力をどう育ててゆくのかという問題もあります。
5年前の白陵中学の数学の入試問題で、正方形8枚の組み合わせの図形が30パターン程書いてあり、「この中から立方体の展開図となり、更に、ひとふで書きができるものを選びなさい」という問題がありました。
こういうのは思考力問題に区分されます。(多分。)実際、こういう問題が増えていると聞きました。これを知識の詰め込みや暗記力や訓練で乗り切ろうとしたら、それこそ膨大な勉強量が必要です。受験の為に幼児の頃から勉強してきたからといってできる問題でもないですよね。ですが、こういう問題は、できる子にとっては簡単なことで、この問題が難しいとは感じないはずです。ピカソクラスの子達なら喜んでやりそうだと思いました。だけど、こういう力を受験の為にあえて色んな科目で身につけようとしたら、それは難しいだろうと思います。
教育の目的が“受験”にある限り、思考力は育ちようがない気がします。きっと思考力が育つ塾とか習い事とかこれからできてゆくのでしょうね。もう、いい加減、世間の大人は目を覚ましたらどうかと思いますが、これからそこをねらった幼児教室が続々とでてきそうな気がします。
どうすれば思考力が育つのか?その答えはもう昔からでていて、それは、興味のあること好きなことを思いっきりやらせてあげることです。(能動的なことで)
これは教育の立場からでも脳科学・心理学の立場からでもどんな学者も言い続けていることです。興味をもっていたことなら自分からどんどんやってゆきますから、たとえ失敗しても試行錯誤をくり返します。自分から考えはじめます。やり遂げる為には苦しみもいとわず成就するまで考え続けその達成感を知ってゆきます。考えることが好きになれば、思考力は自然と育ってゆきます。“考えるのが好きな子”になってゆきます。
それとどうしてもはずせないのが読書です。(読み聞かせです。)知識を蓄えるための読書じゃなくて、色んな物語を読んで、色んな人達、生きとし生けるものの気持ちになって思考を深めてゆくこと、色んな考えがあって、色んな生き様があることを知ってゆくこと。私は、無理にでも子ども達に本を読む機会をつくってゆかなければと思っています。
幸いアトリエの子ども達は、一人、また一人と本を読む子に育ってくれています。アトリエでは、周りの子が読むので、それに影響されて読むようになっていった子も多いです。
今、あまりにも人間の思考が浅くなっていることを思わずにはいられません。効率を求める社会がひきおこしてしまったことなのか。何もかもの展開がはやく、すぐに結果が出てしまい、考える間もなく次の展開がはじまってゆく。そんな事が多すぎます。 お正月のテレビ番組では、インスタグラムで写真をあげると、有名人だからかもしれないけど、ものの数秒で3000件くらいの“いいね”が返ってきていました。その方は18万人の友達がいるそうです。(フェイスブックの出現以来、“友達”の日本語は別のものになってしまいましたね。) その“いいね”ボタンを押す瞬間、何も考えていないわけです。考える必要のない世界がそこに存在します。しかも写真と絵文字だけですから、言葉もいりません。考えることも言葉もいらない世界が、若い人達のコミュニケーションの主流となっています。それは、本当はとても怖いことだけれど、かと言って時代の流れを止めることはできませんし、時代の流れとして必要であることも認めなくてはなりません。
しかしそれとこれとは別であることをしっかり理解できる人間、その世界だけに流されてしまわない人間に育ってほしいと思います。
おそろしいスピードで進んでゆくこの世界にのみこまれてしまわないことは、並大抵じゃありません。豊かな言葉と深い思考力が必要です。豊かな言葉にたくさん触れてほしい。柳田那男さんの“みんな絵本から”という言葉には、そんな意味があるのだと実感しました。 “考えること” と “豊かな言葉” それがいらない世界にしてはいけない。考えることも言葉も、何をするにも必要なことです。
自然に生きるにも、人と人との出会いの中でも、音楽でもスポーツでも、学問するにも、学歴で生きるにしても。 なんでもできる子にしなくていいから、高学歴にしなくてもいから “考えることが大好きな子” “豊かな言葉をもつ子” そして何より 心を育ててゆきましょう。必ず生きる力となってゆきます。自分で生きる道を自分で決められる子になってゆきます。
今回のこともそうですが、社会も必ずそのことに気付きます。
子ども達が豊かな人生を歩めるように、今年も育ってゆく子ども達を見守ってゆきましょう。そして、私たち大人も、子ども達に負けないように共に学びを深めてゆければと思います。
今年もよろしくお願い致します。
2015.1.(1) アトリエ講師 星野 由香