子ども達の夏が終わりましたね。今年の夏はたくさんの子ども達とこれまで以上に多くの関わりを持てた夏でした。どこの子ども達と出会っても驚きと感動をあたえられます。
先日、色んな事情で退会しなくてはならなくなった、5年生のSちゃんとそのお母さんからお手紙を頂きました。Sちゃんの手紙は、「星野先生と出会って、私は、人の気持ちを考えられるようになりました。」と書かれてました。Sちゃんは、超マイペースで人のことは我関せずの子だったので、その言葉が意外でもあり、いつどのくらいから、そんなことを思うようになっていたんだろうとその成長に驚きました。お母さんからは、自分ではマイナスに考えてしまう子どもの性格を、星野先生は、親では思いつかない視点で褒めてくださったと書かれていました。
私は、年間、かなりの数の子ども達と出会っています。たくさんの子ども達の出会いの中で子どもを肯定的に見ることが習慣になりました。だからこそ、他の人には見えないその子のすごさに気づけることがあるのかもしれません。はじめからそうだったわけではなく、和久先生からの教授もあるけれど、実感として最初はアトリエの子ども達から驚きと感動をもらって、アトリエの子はすごいと思いました。それから園や教育委員会の仕事などでアトリエ式で子ども達と接する機会を頂き、子どもってみんなすごい!ということを身をもって実感し、私は子ども達に対して謙虚にならざる得なくなりました。だって、本当に子どもの方がすごいと思うことだらけですから。
甥っ子が夏休みに帰ってきて、今年はセミの羽化をみせてあげたかったので、自宅の裏にある林に探しにいきました。幼虫を見つけて、もうすぐ羽化がはじまるよ、ちゃんと見ときよっと見てたら、周囲のあちこちで羽化が始まっており、めずらしくもなんともない状況(笑)。20匹くらい羽化していました。来年、見たい方がいらっしゃれば、来てくださいね。
その過程をじっと見ていると、かなり複雑な工程を経て成虫になっていっている様子がよくわかりました。その後、彼らはセミとして交尾を経て子孫を残してゆきます。誰に教わることもなく一生を全うしてゆくんですよね。その力が人間のこどもだけに備わっていないわけがないと思いました。
アトリエの活動も子ども達の本質に従ったほうがずっといい作品ができます。積み木なのに絵の具をする、みたいな全く違うことをすると言うのは違いますが、子どもの本質に素直に従い、そのままの自分を表現できる、自分の潜在的な力を発揮できる環境をつくることは大人の役割であり、その環境を用意するのが、アトリエのあるべき姿であるとあらためて思いました。
これは、芸術という側面においてだけでなく、運動や勉強、しつけや道徳など全てのことに同じことが言えるのかもしれないと思います。子どもの本質に素直に従った環境があれば、大人が教えなくては、と思わなくとも子どもは自分自身でつかみ取ってゆく力があると信じることができるかどうか、とても覚悟のいる子育て観かもしれませんが、これからの時代においてはその自分でつかみとった力こそが重要になってくるように感じています。
先日、卒業生の理系男子から「先生もアトリエも反AI、反テクノロジーやけど、そんな考え方していたら取り残されんで」と言われて一冊の本をすすめられました。私は別に反AIでも反テクノロジーではないんですが、アトリエで育った子から言われると説得力があります。この世界に詳しい方にとっては当たり前の言語のようですが、私はこの本でシンギュラリティという言葉をはじめて知りました。AIが人間の進化を超える時のようです。
2045年には、その時代が確実にくるそうで、それが来れば日本の企業のホワイトカラーがしている仕事はAIがやり、ホワイトカラーの賃金がいらなくなる分、ブルーカラーの収入が増えると書いていました。なので、いい大学に行って、大手の企業に入社できる選択肢を増やして高収入を得てホワイトカラーになるというよくある既存の概念は、絶滅危惧種をつくりだす教育でしかないそうで、だったら子どもの時からプログラミングを、とか英語を、という考え方も同じことだと書いていました。殆どがAIでできるようになってくるからです。
総合すると、モチベーションがない、オリジナリティがない、自己肯定感がない、ロジックがない、思考体力がない、のならなにをしても一緒ということが書いてあるように思いました。私はこういう分野のことはあまり詳しくないけれど言っていることはアトリエとそうは変わらないこともあるように思う反面、この分野の発展は、本当に世界を変えてしまうのだと脅威も感じています。そして、それは、おそらく止まりません。私も高学歴、高収入、安定という、そんな時代はとっくに終わっているということはよくアトリエ通信に書いてきましたが、この本を読んで、急速に時代が変化していることを感じています。
これからの世界は、どんどん多様化してゆき、色んな価値が存在し、かなりの混乱があるのではないかと想像します。どんな時代にも対応できる力は創造力です。そして、自分は何がやりたいかのモチベーションをしっかりと持つことです。アトリエはどんな時代になっても、どんな環境になっても、どの分野で生きようが、それに対応できる力を蓄えてゆく場でもあります。多様化してゆく未来に、特定の技術や能力を身に着けてゆくことは重要です。でも、それは、中高大学生になってからで十分です。この先どんな社会になるのかは、本当のところは誰にもわかりません。この本は色んな情報をくれましたが、それが本当にそうなるかどうかはわかりません。本当に、誰にもわからないことだと思います。本人がやりたくもないのに親が子供の将来の為にと思ってやらせている習い事は、検討違いになるかもしれません。こらからの未来を予測するのは、非常に難しいと思います。だからこそ、いま、土台をつくる時です。何が来てもそれに対応できる力は、創造力、そして集中力、それから好きの力であることは、変わらないのではないかと感じています。ですから時代の波に翻弄されてしまわず、これからも子ども達の力を信じて、応援してゆきましょうね。
2017年9月②アトリエ講師 星野由香
先日、色んな事情で退会しなくてはならなくなった、5年生のSちゃんとそのお母さんからお手紙を頂きました。Sちゃんの手紙は、「星野先生と出会って、私は、人の気持ちを考えられるようになりました。」と書かれてました。Sちゃんは、超マイペースで人のことは我関せずの子だったので、その言葉が意外でもあり、いつどのくらいから、そんなことを思うようになっていたんだろうとその成長に驚きました。お母さんからは、自分ではマイナスに考えてしまう子どもの性格を、星野先生は、親では思いつかない視点で褒めてくださったと書かれていました。
私は、年間、かなりの数の子ども達と出会っています。たくさんの子ども達の出会いの中で子どもを肯定的に見ることが習慣になりました。だからこそ、他の人には見えないその子のすごさに気づけることがあるのかもしれません。はじめからそうだったわけではなく、和久先生からの教授もあるけれど、実感として最初はアトリエの子ども達から驚きと感動をもらって、アトリエの子はすごいと思いました。それから園や教育委員会の仕事などでアトリエ式で子ども達と接する機会を頂き、子どもってみんなすごい!ということを身をもって実感し、私は子ども達に対して謙虚にならざる得なくなりました。だって、本当に子どもの方がすごいと思うことだらけですから。
甥っ子が夏休みに帰ってきて、今年はセミの羽化をみせてあげたかったので、自宅の裏にある林に探しにいきました。幼虫を見つけて、もうすぐ羽化がはじまるよ、ちゃんと見ときよっと見てたら、周囲のあちこちで羽化が始まっており、めずらしくもなんともない状況(笑)。20匹くらい羽化していました。来年、見たい方がいらっしゃれば、来てくださいね。
その過程をじっと見ていると、かなり複雑な工程を経て成虫になっていっている様子がよくわかりました。その後、彼らはセミとして交尾を経て子孫を残してゆきます。誰に教わることもなく一生を全うしてゆくんですよね。その力が人間のこどもだけに備わっていないわけがないと思いました。
アトリエの活動も子ども達の本質に従ったほうがずっといい作品ができます。積み木なのに絵の具をする、みたいな全く違うことをすると言うのは違いますが、子どもの本質に素直に従い、そのままの自分を表現できる、自分の潜在的な力を発揮できる環境をつくることは大人の役割であり、その環境を用意するのが、アトリエのあるべき姿であるとあらためて思いました。
これは、芸術という側面においてだけでなく、運動や勉強、しつけや道徳など全てのことに同じことが言えるのかもしれないと思います。子どもの本質に素直に従った環境があれば、大人が教えなくては、と思わなくとも子どもは自分自身でつかみ取ってゆく力があると信じることができるかどうか、とても覚悟のいる子育て観かもしれませんが、これからの時代においてはその自分でつかみとった力こそが重要になってくるように感じています。
先日、卒業生の理系男子から「先生もアトリエも反AI、反テクノロジーやけど、そんな考え方していたら取り残されんで」と言われて一冊の本をすすめられました。私は別に反AIでも反テクノロジーではないんですが、アトリエで育った子から言われると説得力があります。この世界に詳しい方にとっては当たり前の言語のようですが、私はこの本でシンギュラリティという言葉をはじめて知りました。AIが人間の進化を超える時のようです。
2045年には、その時代が確実にくるそうで、それが来れば日本の企業のホワイトカラーがしている仕事はAIがやり、ホワイトカラーの賃金がいらなくなる分、ブルーカラーの収入が増えると書いていました。なので、いい大学に行って、大手の企業に入社できる選択肢を増やして高収入を得てホワイトカラーになるというよくある既存の概念は、絶滅危惧種をつくりだす教育でしかないそうで、だったら子どもの時からプログラミングを、とか英語を、という考え方も同じことだと書いていました。殆どがAIでできるようになってくるからです。
総合すると、モチベーションがない、オリジナリティがない、自己肯定感がない、ロジックがない、思考体力がない、のならなにをしても一緒ということが書いてあるように思いました。私はこういう分野のことはあまり詳しくないけれど言っていることはアトリエとそうは変わらないこともあるように思う反面、この分野の発展は、本当に世界を変えてしまうのだと脅威も感じています。そして、それは、おそらく止まりません。私も高学歴、高収入、安定という、そんな時代はとっくに終わっているということはよくアトリエ通信に書いてきましたが、この本を読んで、急速に時代が変化していることを感じています。
これからの世界は、どんどん多様化してゆき、色んな価値が存在し、かなりの混乱があるのではないかと想像します。どんな時代にも対応できる力は創造力です。そして、自分は何がやりたいかのモチベーションをしっかりと持つことです。アトリエはどんな時代になっても、どんな環境になっても、どの分野で生きようが、それに対応できる力を蓄えてゆく場でもあります。多様化してゆく未来に、特定の技術や能力を身に着けてゆくことは重要です。でも、それは、中高大学生になってからで十分です。この先どんな社会になるのかは、本当のところは誰にもわかりません。この本は色んな情報をくれましたが、それが本当にそうなるかどうかはわかりません。本当に、誰にもわからないことだと思います。本人がやりたくもないのに親が子供の将来の為にと思ってやらせている習い事は、検討違いになるかもしれません。こらからの未来を予測するのは、非常に難しいと思います。だからこそ、いま、土台をつくる時です。何が来てもそれに対応できる力は、創造力、そして集中力、それから好きの力であることは、変わらないのではないかと感じています。ですから時代の波に翻弄されてしまわず、これからも子ども達の力を信じて、応援してゆきましょうね。
2017年9月②アトリエ講師 星野由香