先週の活動でお母さん達からの質問が多かった色のついた積み木は、もともとは和久先生が娘さんの為につくった“かずの木”という童具で、モンテッソーリの思想と数学者・遠山拓氏の水道方式の理論が取り入れられています。(パンフレットに詳しく描いていますのでご覧になってください。)幼小コピカでは、はじめに1から10までのかずの木で自由に見立て遊びをしてから、ちょうど100になるトレイで数のパズルを楽しみました。小学生のクラスはテキストにもある立体すごろく(かずの木のテキストP.64)がとても盛り上がったようですよ。その後は机をかずの木で埋め尽くして、ピンをさしてからのビーズ遊び。頭を使った後なので、よけいに大はしゃぎの子ども達でした。
人間がパッと見て認識できる数は多くても30個くらいで、100を認識することはなかなか難しいそうです。たとえばミカン100個とか車100台とか、イメージしにくいですよね。ですが、かずの木だと1トレイが100であることを一目瞭然でわかります。また、100に対して1はこのくらい、10はこのくらい、二つに分けると・・・など割合まではっきりとわかります。
1列が10になっているので、1と9で10、3と7で10という組み合わせや、1が10個で10.10が10個で100など数の分解も、教えなくとも遊びながら理解できます。
実は、幼児に計算を教えるのはものすごく簡単にできることで、掛け算の九九なら誰でも覚えます。天才児でもなんでもありません。ただ本当に理解できている子となると殆どいないのではないかと思います。以前、計算式で1+1=2や10+10=20が出来る幼児に、かずの木で遊んだ後に、かずの木の10をふたつもって“これで、いくつ?”って聞くと2という答えがかえってきました。積み木がふたつという意味だと思いますが、それまでかずの木で遊んでいるので、2ではなくて・・・と促すと次は11という答えでした。幼児なのでわからなくてもいいのですが、どんなに教え込んでも発達年齢を越えて理解することは難しいものなんだと感じた出来事でした。(個人差はあります。)
ですが逆に、かずの木で幼い頃から遊んでいる子は、10のかずの木が二つで20ということや、10が10個あったら100になることなど教える必要もありません。時期がくれば自然と理解しています。またいくら0が増えても10+10=20なら100+100=200で1000+1000=2000ようになることも、0の概念と、1が10個で10という10までの数と量を根本的に理解していれば自然とわかるようです。かずとりゲームをしている時に、点数の数え方を見ていると、子ども達がどういう理解をしているのかがよくわかります。数と量のいききができること、その前に未測量の世界を十分に体験すること。私はそういう専門家ではないから個人的な見解になりますが、アトリエでかずの木や積み木で遊んでいる子ども達を見てきた体験から、算数でのつまづきは、どうもそこの理解がしっかりできているかどうかにあるように感じています。
かずの木で遊んだり、積み木やモザイクなど幾何形体で遊んでいると、子どもは本来、数学的なことが好きなんだなあと思います。子ども達が自然と生み出した伝承遊びにも数学的な要素が入っているものがたくさんあります。物事をを突き詰めると数学にいきつくという言葉も聞いたことがあります。「子どもの時、図形が大っ嫌いだった。」というお母さん達もアトリエの講座の時は“おもしろい”という言葉がよく聞かれますよね。子ども達が本来もっている好奇心や興味に素直に従う子育てができたら、無理に勉強へ向かわせなくても子ども自身が自分でしっかり考えるようになるのは自然な流れであるようです。もちろん、放っておいてそうなるわけではありません。環境を整えることは必要です。その上で焦らず待ってください。発達年齢を飛び越えて教えようとしたら本末転倒。その年齢に応じたことを思いっきりさせてあげたらいいんです。幼児期は思いっきり遊んでこれからの人生の土台をつくる時です。AIの土台をつくるより、人間の土台をつくってあげましょう。アトリエも開校して18年。たくさんの子ども達が育ってゆきました。先を急がず、焦らず、迷わず、待ってこそ、後の実りも豊かになることを見てきました。先のことより、子ども達の今を応援してあげることです。逆に、このお母さんはどうやってこの子の人生をつぐなってゆくのだろうという姿もみてきました。奪われた子ども時代は二度とかえってきません。山下先生がいつも言っている「子育ては欲をださないこと、素直になること。」迷った時に思いだすと、気が楽になりますよ。それでも迷ったら「生きていてくれたらそれで十分。」それ以上のことはありません。これから子ども達が輝く夏がやってきます。子ども達と共に子育てを楽しみましょうね。
※先週、ご注文頂きましたかずの木は、今週中に届きます。
7月24日10時半からかずの木講座・基礎編を行いますので、是非、ご参加下さい。
2018年7月①アトリエ講師 星野由香
人間がパッと見て認識できる数は多くても30個くらいで、100を認識することはなかなか難しいそうです。たとえばミカン100個とか車100台とか、イメージしにくいですよね。ですが、かずの木だと1トレイが100であることを一目瞭然でわかります。また、100に対して1はこのくらい、10はこのくらい、二つに分けると・・・など割合まではっきりとわかります。
1列が10になっているので、1と9で10、3と7で10という組み合わせや、1が10個で10.10が10個で100など数の分解も、教えなくとも遊びながら理解できます。
実は、幼児に計算を教えるのはものすごく簡単にできることで、掛け算の九九なら誰でも覚えます。天才児でもなんでもありません。ただ本当に理解できている子となると殆どいないのではないかと思います。以前、計算式で1+1=2や10+10=20が出来る幼児に、かずの木で遊んだ後に、かずの木の10をふたつもって“これで、いくつ?”って聞くと2という答えがかえってきました。積み木がふたつという意味だと思いますが、それまでかずの木で遊んでいるので、2ではなくて・・・と促すと次は11という答えでした。幼児なのでわからなくてもいいのですが、どんなに教え込んでも発達年齢を越えて理解することは難しいものなんだと感じた出来事でした。(個人差はあります。)
ですが逆に、かずの木で幼い頃から遊んでいる子は、10のかずの木が二つで20ということや、10が10個あったら100になることなど教える必要もありません。時期がくれば自然と理解しています。またいくら0が増えても10+10=20なら100+100=200で1000+1000=2000ようになることも、0の概念と、1が10個で10という10までの数と量を根本的に理解していれば自然とわかるようです。かずとりゲームをしている時に、点数の数え方を見ていると、子ども達がどういう理解をしているのかがよくわかります。数と量のいききができること、その前に未測量の世界を十分に体験すること。私はそういう専門家ではないから個人的な見解になりますが、アトリエでかずの木や積み木で遊んでいる子ども達を見てきた体験から、算数でのつまづきは、どうもそこの理解がしっかりできているかどうかにあるように感じています。
かずの木で遊んだり、積み木やモザイクなど幾何形体で遊んでいると、子どもは本来、数学的なことが好きなんだなあと思います。子ども達が自然と生み出した伝承遊びにも数学的な要素が入っているものがたくさんあります。物事をを突き詰めると数学にいきつくという言葉も聞いたことがあります。「子どもの時、図形が大っ嫌いだった。」というお母さん達もアトリエの講座の時は“おもしろい”という言葉がよく聞かれますよね。子ども達が本来もっている好奇心や興味に素直に従う子育てができたら、無理に勉強へ向かわせなくても子ども自身が自分でしっかり考えるようになるのは自然な流れであるようです。もちろん、放っておいてそうなるわけではありません。環境を整えることは必要です。その上で焦らず待ってください。発達年齢を飛び越えて教えようとしたら本末転倒。その年齢に応じたことを思いっきりさせてあげたらいいんです。幼児期は思いっきり遊んでこれからの人生の土台をつくる時です。AIの土台をつくるより、人間の土台をつくってあげましょう。アトリエも開校して18年。たくさんの子ども達が育ってゆきました。先を急がず、焦らず、迷わず、待ってこそ、後の実りも豊かになることを見てきました。先のことより、子ども達の今を応援してあげることです。逆に、このお母さんはどうやってこの子の人生をつぐなってゆくのだろうという姿もみてきました。奪われた子ども時代は二度とかえってきません。山下先生がいつも言っている「子育ては欲をださないこと、素直になること。」迷った時に思いだすと、気が楽になりますよ。それでも迷ったら「生きていてくれたらそれで十分。」それ以上のことはありません。これから子ども達が輝く夏がやってきます。子ども達と共に子育てを楽しみましょうね。
※先週、ご注文頂きましたかずの木は、今週中に届きます。
7月24日10時半からかずの木講座・基礎編を行いますので、是非、ご参加下さい。
2018年7月①アトリエ講師 星野由香