新年あけましておめでとうございます。今年も1都3県の緊急事態宣言から始まる1年となり、世界のコロナ状況も終息する兆しを見せず、2021年は、現代人がこれまで経験のしたことがない年となることを、誰もが予測されていることと思います。これまでアトリエ通信で「アトリエはどんな時代となっても生き抜ける力を育てる場」ということを伝え続けてきましたが、まさに今がその時ですね。既存の価値観が一変した今、世間の教育の価値も変貌し、また多様化しています。知識をつめこんでも、知恵としてつかえないのであればどうにもならないということが、はっきりと示されてきました。表面的な価値だけを育てても、「どうしたらいいと思いますか?」に答えられない価値は、意味をなさなくなります。その時代において、これからの世界を生きていく子ども達に、表面的な知識ではなく、目先にとらわれず、子ども達が本当に生きる為の底力を身に着けることができる環境を用意されることは、どの子にとっても最優先されるべきことであると思います。そして、なんとしても育つ必要のある力は、生きる為の創造力・それを発揮する為の集中力・モチベーションとなる好きの力です。そしてその力は、子ども達は皆、もって生まれてきています。アトリエはその力を引きだす学びの場。どんな状況になろうと、子ども達だけでなく、講師も親も共に、この2021年も学び続けていきましょう。
本年もスタッフ一同、よろしくお願い申し上げます。

前回のアトリエ通信に書いた部分的全体の法則についてですが、わくわく創造アトリエが骨子としているフレーベルの思想には「部分的全体」という言葉がよくでてきます。例えば一人の人間は、唯一無二の自己完結したものでありひとつの全体であるけれど、家庭の部分でもあり、家庭は家族一人ひとりからなる全体であると同時に、国を形成する部分でもあります。更に国は、それ自身が自己完結している全体である同時に、世界から見れば部分でもあります。このように宇宙に(フレーベルの時代は神の創造した世界)属する全ての存在は、1個の全体であり、全体の部分として存在していることを表現する用語として、部分的全体としています(フレーベル・ペスタロッチー辞典参照)。そして部分的全体には全体の本質が集約されており、また一つで独立して存在するものはひとつもありません。よって全てのものは孤立して存在するものではなく、全体と連なるものとして、存在することになります。その部分的全体の思想は、フレーベルが残した恩物にもあらわれており、フレーベルは球~点に至る形を通してその法則を子ども達に伝えました。一番わかりやすいのが第3恩物の8個の立方体です。一つの立方体を天地・左右・前後に8個に分割して箱収めたものですが、主立方体を分割することにより主立方体と同じ秩序を持った部分立方体が現れます。そして8個の立方体はそれ一つで完成された全体ですが、童具全体の部分でもあります。同じようにひとつの童具はそれ一つで完成された全体であり、童具全体の部分でもあり、童具は全部でひとつの世界(宇宙)がつくられるように出来ています。なので童具の作品カタログは童具の宇宙と言います。106ページに全ての童具の形のつながりが明記されているので、是非ご覧になってください。知れば知るほど深い童具の宇宙が見えてきます。

今週は三角をテーマにオブジェをつくります。楽しみにお待ちくださいね。
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2021年1月①アトリエ講師 星野由香