この度は不足の事態となり、みなさまにはご心配とご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんでした。
5月からは、感染防止を強化し運営に努めていきたいと思っております。
遅れましたが、入学、入園おめでとうございます。つい最近、お母さんのお腹のなかから出てきた子達、つい最近まで親子コピカでお母さんと色んな紆余曲折を繰り返していたのに、そんな子達が、ランドセルを背負って小学校に通うなんて、写真を何人か見せて頂きましたが、胸のあつくなる思いでした。保育園や幼稚園に通い出した子ども達も一体どんな顔をして、過ごしているのかなあと、片隅からのぞいていたい気分です(笑)。
保育指針が、子ども主体の保育に変わってから3年がたちました。この指針を読んだ時は和久先生が40年前から言い続けてきたことが、やっと国レベルで認められたと、とても嬉しく思いました。でもそれが現場に届いて、理解されて、子ども達に反映されるには当然、時間がかかるだろうと思っていましたが、3年経ってようやくその兆しが見えてきたように感じています。
ですが、子ども主体の保育というのは、具体的にどういうことなのか、これまでの保育となにが違うのか、どうして改訂されたのか、と聞かれたら、それに答えられる保育士さんはそんなにいないんじゃないかと思います。お母さん達もお子さんの入園に伴い、知っておきたいところですよね。
まず、戦後から今までどういう保育だったのかというと(もちろんもともと子ども主体の保育をされている所はたくさんありますが、一般的にという意味です)、皆さんもご自身の体験があると思いますが、クラス全員が一斉に同じことをして、全員が決められた年齢までに、同じことができるようになるまで、できない子もひきあげていくというやり方でした。皆に同じことを大人の指示でさせて、出来るだけ遅れる子がいないようにひっぱっていく。それが上手にできる保育士が高評価されるというあり方です。子どもの意志が反映されているわけではありません。その保育がどのように変化しようとしているかというと、昔風に上手にひっぱていく保育を克服して、子ども達一人ひとりが自らの興味に従い、自分のやりたいことを見つけて、時には友達と共同しながら、自分達で試行錯誤していく、とうのが新しい保育指針です。そして保育士は、子ども達のその姿を応援し、子ども達が主体的に様々なことに取り組める多様な環境を、丁寧に整えることに心を尽くすことが、とても大事であると言われています。私もアトリエ通信で子ども達が集中できるように、創造力を存分に発揮できるように、環境を整えることに心を尽くすということを常に書いてきました。新しい保育指針は、アトリエの考え方と同じところが多くありました。でもフレーベルは200年前から、同じことを言っています。“子ども達が生きる力を育むために、私達が出来ることは、子どもが人間の本質を発揮できる環境を整え見守ること”やっと200年前のフレーベルに思想に追いついたんですね。
一斉保育の流れは日本の保育環境にも理由がありました。欧米では、多くても一クラス15人以上になることは殆どありません。それに対し、日本は、30人くらいが1クラス。私の時代など、中学は16クラスあったくらい子どもの数が多く、一斉保育しかできなかったというのもあるのかもしれません。
では、長年、そういう保育だったのにここにきてなぜ改訂されたのか。それには、小さい子ども達の研究がようやく本格的にできるようになったということがあるそうです。実は1,2歳の赤ちゃんがどういう風に発達するのかについて、これまではっきりとしたことは言えませんでした。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは目が見えないと思われていて、しばらくしてから見えると私も学びましたが、機器の発達により、赤ちゃん側から見えていることが分かるようになり、生まれたばかりの赤ちゃんも0.001くらいの視力があることがわかりました。赤ちゃんの脳のどの部分が動いているのかも、状況によりわかるようになり、それをコンピューターで解析することができます。その中で、人から言われて、教育されて、発達する領域はほんの少ししかないことがわかったのだそうです。そうだろうと思っていましたが、それが証明されたってすごくないですか。赤ちゃんがハイハイをしてつかまり立ちをして、歩き出す過程で、その時お母さんお父さんは何か教育して、赤ちゃんに、こうやってハイハイしてこうやって歩いてと教えるたりするでしょうか。しませんよね。赤ちゃんが自ら自分で歩くようになっていきます。つまり子どもは自分で興味を持って、あんなことしてみたいな、こんなことができたらいいな、これどうなっているんだろう知りたいな、という気持ちが育って、基礎能力が出来てくると、自分からそういうものに挑んでいって、何回も繰り返していくうちに、脳に新しい回路ができて、自然とできるようになって、知識が身についていくのだそうです。それがどういう事かというと、子どもは自分で自分を発達させているということです。だから大人の役割は、時には見守り、時には上手に応援してあげること。自分が本当にやりたいと思っていることでなければ、脳の回路がつながっていないから、身につかない。知識というのは、その時に教えられて頭に入るのではなくて、自分で考えて考えて、そうか、そうだったのかとなってはじめて身につく。だから、先生が指示して、教えて、同じようにさせて、出来るようになっても、たいして身についたものはなく、子どもが自らやりたいと思ったことを、子どもがやろうとしていることを、やりだしたら応援していく、そういう環境をつくることが、子どもの発達の理論に即していて、一番こどもが発達しやすいということがわかったから、今の保育指針に改定されたわけです。ですから教えが大きければ大きいほど、身につくものか少ないということを、私達大人は学ばなければなりません。私もずっと疑問におもっていたことがあって、小さい時からものすごく勉強をさせられている子と、結構、自由にしてきて中学や高校からやりたいことが出来て、本気になって勉強し始めた子と、最終的には同じ大学という結果になるのは、なぜなんだろうと思っていました。勉強している量は、前者は、後者の2倍3倍どころではありません。膨大な勉強をしているのですから、それだけの差がでているはずなのに、そうならないのはどうしてだろうと思っていましたが、その答えがわかりました。やらされているのと、自らやりたいと思ってやるのとでは、0と100の違いがあるのかもしれません。
人間はそもそも発見すること、知る事を求めている生命です。人間は知りたいという根源的な欲求をもっています。それは教えられて知るのではなくて、自分で発見して知りたいのです。それが発見欲求。そして知ったことは自分でやってみたいのです。それが表現欲求。そして自分が表現したことがまた、新しいものを発見して、以前に表現したものとの関係性を見つけ、また表現活動を繰り返し、またそこで何かを発見する。それが人間の創造力のあり方でもあります。
今、アトリエの親子クラスは、全体では増えていますが、平日クラスの人数は、以前に比べて少なくなりました。(平日クラス、おススメですよ。少人数ですごして頂けます。)以前と比べて、保育園に行っている子が増えたからです。1歳から保育園に行くのは当たり前となってきました。ですから、子ども達は保育園の影響をかなり受けて育つことになります。子どもは、自分のやりたいことは、自分で決めたいという強い欲求を持っています。ですから、それを上手に発揮させてあげる場として、保育園や幼稚園が非常に大きな役割をはたしていくようになります。
そのこともあり、お母さん達に子どもの主体的な保育について、お伝えしたいと思いました。赤ちゃんの脳の処理は独特なものがあるそうですが、感情面については、大人とほぼ変わらないということがわかっています。赤ちゃんだから、忙しいからといい加減に扱われると、自分のことを大事にしてもらえないということを学んでしまいます。そうなると、小さい時から人を大事にしようと思わない。それは裏返すと自分を大事にしようと思わない、そういう人間になってしまうという可能性があるということもわかってきたそうです。そして幼い時にインプットされたものを変えていく難しさは、皆さんも知っている通りです。そういうことをよく理解している保育園を選びたいですね。
よく、自分のやりたいことを見つけて生きてくれたら、それを仕事にしてくれたらそれでいい、というお話しを聞きますが、自分の好きなことをみつける、自分のやりたいことを見つけるといのは、そう簡単なことではありません。自分のやりたいことを見つけるには、やりたいことをやりたいようにやらせてもらった体験がなければ、見つけようがありません。
アトリエは子ども達のやりたい、やってみたいをかなえる場、自分でも思いもよらなかった力に気づける場所でもあります。そして主人公は自分自身。アトリエは誰もが主人公でいられる場所なのです。本年度も子ども達の心に沿い、ススタッフ一同、子ども達の主体性を大切の環境を整えてまいりたいと思っております。スタートが大変遅れてしまいましたが、本年度もよろしくお願い致します。
※子どもで主体の保育については、保育指針と汐見稔幸教授、大豆生田啓友教授のお話しを参考にしています。なるべく個人的な意見は書かないようにしましたが、解釈の違いがありましたら、ご容赦下さい。
2021年4月① アトリエ講師 星野由香
5月からは、感染防止を強化し運営に努めていきたいと思っております。
遅れましたが、入学、入園おめでとうございます。つい最近、お母さんのお腹のなかから出てきた子達、つい最近まで親子コピカでお母さんと色んな紆余曲折を繰り返していたのに、そんな子達が、ランドセルを背負って小学校に通うなんて、写真を何人か見せて頂きましたが、胸のあつくなる思いでした。保育園や幼稚園に通い出した子ども達も一体どんな顔をして、過ごしているのかなあと、片隅からのぞいていたい気分です(笑)。
保育指針が、子ども主体の保育に変わってから3年がたちました。この指針を読んだ時は和久先生が40年前から言い続けてきたことが、やっと国レベルで認められたと、とても嬉しく思いました。でもそれが現場に届いて、理解されて、子ども達に反映されるには当然、時間がかかるだろうと思っていましたが、3年経ってようやくその兆しが見えてきたように感じています。
ですが、子ども主体の保育というのは、具体的にどういうことなのか、これまでの保育となにが違うのか、どうして改訂されたのか、と聞かれたら、それに答えられる保育士さんはそんなにいないんじゃないかと思います。お母さん達もお子さんの入園に伴い、知っておきたいところですよね。
まず、戦後から今までどういう保育だったのかというと(もちろんもともと子ども主体の保育をされている所はたくさんありますが、一般的にという意味です)、皆さんもご自身の体験があると思いますが、クラス全員が一斉に同じことをして、全員が決められた年齢までに、同じことができるようになるまで、できない子もひきあげていくというやり方でした。皆に同じことを大人の指示でさせて、出来るだけ遅れる子がいないようにひっぱっていく。それが上手にできる保育士が高評価されるというあり方です。子どもの意志が反映されているわけではありません。その保育がどのように変化しようとしているかというと、昔風に上手にひっぱていく保育を克服して、子ども達一人ひとりが自らの興味に従い、自分のやりたいことを見つけて、時には友達と共同しながら、自分達で試行錯誤していく、とうのが新しい保育指針です。そして保育士は、子ども達のその姿を応援し、子ども達が主体的に様々なことに取り組める多様な環境を、丁寧に整えることに心を尽くすことが、とても大事であると言われています。私もアトリエ通信で子ども達が集中できるように、創造力を存分に発揮できるように、環境を整えることに心を尽くすということを常に書いてきました。新しい保育指針は、アトリエの考え方と同じところが多くありました。でもフレーベルは200年前から、同じことを言っています。“子ども達が生きる力を育むために、私達が出来ることは、子どもが人間の本質を発揮できる環境を整え見守ること”やっと200年前のフレーベルに思想に追いついたんですね。
一斉保育の流れは日本の保育環境にも理由がありました。欧米では、多くても一クラス15人以上になることは殆どありません。それに対し、日本は、30人くらいが1クラス。私の時代など、中学は16クラスあったくらい子どもの数が多く、一斉保育しかできなかったというのもあるのかもしれません。
では、長年、そういう保育だったのにここにきてなぜ改訂されたのか。それには、小さい子ども達の研究がようやく本格的にできるようになったということがあるそうです。実は1,2歳の赤ちゃんがどういう風に発達するのかについて、これまではっきりとしたことは言えませんでした。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは目が見えないと思われていて、しばらくしてから見えると私も学びましたが、機器の発達により、赤ちゃん側から見えていることが分かるようになり、生まれたばかりの赤ちゃんも0.001くらいの視力があることがわかりました。赤ちゃんの脳のどの部分が動いているのかも、状況によりわかるようになり、それをコンピューターで解析することができます。その中で、人から言われて、教育されて、発達する領域はほんの少ししかないことがわかったのだそうです。そうだろうと思っていましたが、それが証明されたってすごくないですか。赤ちゃんがハイハイをしてつかまり立ちをして、歩き出す過程で、その時お母さんお父さんは何か教育して、赤ちゃんに、こうやってハイハイしてこうやって歩いてと教えるたりするでしょうか。しませんよね。赤ちゃんが自ら自分で歩くようになっていきます。つまり子どもは自分で興味を持って、あんなことしてみたいな、こんなことができたらいいな、これどうなっているんだろう知りたいな、という気持ちが育って、基礎能力が出来てくると、自分からそういうものに挑んでいって、何回も繰り返していくうちに、脳に新しい回路ができて、自然とできるようになって、知識が身についていくのだそうです。それがどういう事かというと、子どもは自分で自分を発達させているということです。だから大人の役割は、時には見守り、時には上手に応援してあげること。自分が本当にやりたいと思っていることでなければ、脳の回路がつながっていないから、身につかない。知識というのは、その時に教えられて頭に入るのではなくて、自分で考えて考えて、そうか、そうだったのかとなってはじめて身につく。だから、先生が指示して、教えて、同じようにさせて、出来るようになっても、たいして身についたものはなく、子どもが自らやりたいと思ったことを、子どもがやろうとしていることを、やりだしたら応援していく、そういう環境をつくることが、子どもの発達の理論に即していて、一番こどもが発達しやすいということがわかったから、今の保育指針に改定されたわけです。ですから教えが大きければ大きいほど、身につくものか少ないということを、私達大人は学ばなければなりません。私もずっと疑問におもっていたことがあって、小さい時からものすごく勉強をさせられている子と、結構、自由にしてきて中学や高校からやりたいことが出来て、本気になって勉強し始めた子と、最終的には同じ大学という結果になるのは、なぜなんだろうと思っていました。勉強している量は、前者は、後者の2倍3倍どころではありません。膨大な勉強をしているのですから、それだけの差がでているはずなのに、そうならないのはどうしてだろうと思っていましたが、その答えがわかりました。やらされているのと、自らやりたいと思ってやるのとでは、0と100の違いがあるのかもしれません。
人間はそもそも発見すること、知る事を求めている生命です。人間は知りたいという根源的な欲求をもっています。それは教えられて知るのではなくて、自分で発見して知りたいのです。それが発見欲求。そして知ったことは自分でやってみたいのです。それが表現欲求。そして自分が表現したことがまた、新しいものを発見して、以前に表現したものとの関係性を見つけ、また表現活動を繰り返し、またそこで何かを発見する。それが人間の創造力のあり方でもあります。
今、アトリエの親子クラスは、全体では増えていますが、平日クラスの人数は、以前に比べて少なくなりました。(平日クラス、おススメですよ。少人数ですごして頂けます。)以前と比べて、保育園に行っている子が増えたからです。1歳から保育園に行くのは当たり前となってきました。ですから、子ども達は保育園の影響をかなり受けて育つことになります。子どもは、自分のやりたいことは、自分で決めたいという強い欲求を持っています。ですから、それを上手に発揮させてあげる場として、保育園や幼稚園が非常に大きな役割をはたしていくようになります。
そのこともあり、お母さん達に子どもの主体的な保育について、お伝えしたいと思いました。赤ちゃんの脳の処理は独特なものがあるそうですが、感情面については、大人とほぼ変わらないということがわかっています。赤ちゃんだから、忙しいからといい加減に扱われると、自分のことを大事にしてもらえないということを学んでしまいます。そうなると、小さい時から人を大事にしようと思わない。それは裏返すと自分を大事にしようと思わない、そういう人間になってしまうという可能性があるということもわかってきたそうです。そして幼い時にインプットされたものを変えていく難しさは、皆さんも知っている通りです。そういうことをよく理解している保育園を選びたいですね。
よく、自分のやりたいことを見つけて生きてくれたら、それを仕事にしてくれたらそれでいい、というお話しを聞きますが、自分の好きなことをみつける、自分のやりたいことを見つけるといのは、そう簡単なことではありません。自分のやりたいことを見つけるには、やりたいことをやりたいようにやらせてもらった体験がなければ、見つけようがありません。
アトリエは子ども達のやりたい、やってみたいをかなえる場、自分でも思いもよらなかった力に気づける場所でもあります。そして主人公は自分自身。アトリエは誰もが主人公でいられる場所なのです。本年度も子ども達の心に沿い、ススタッフ一同、子ども達の主体性を大切の環境を整えてまいりたいと思っております。スタートが大変遅れてしまいましたが、本年度もよろしくお願い致します。
※子どもで主体の保育については、保育指針と汐見稔幸教授、大豆生田啓友教授のお話しを参考にしています。なるべく個人的な意見は書かないようにしましたが、解釈の違いがありましたら、ご容赦下さい。
2021年4月① アトリエ講師 星野由香