先週の幼小コピカの積木の活動は、円柱をテーマに3つのグループに分かれて、ロケット・スペースシャトル・UFOをつくりました。お迎えにいらした時のお母さん達の歓声に、子ども達も誇らし気な表情。大満足の活動となりました。こんな体験はアトリエに通っていないと中々できません。この頃、この体験こそが子ども達の能力になってゆくことを感じています。
科学者の落合陽一さんが、著書“0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書”<小学館>の中で、子どもがその場でしか経験できないような個性的な体験を積み上げることについて「本物の香りを嗅ぎながら育つことで、本物の感性を磨いているのです。後で1億円を出してもこういう感性はすぐには手に入らないわけですから、こういった生の経験は非常に価値が高いことなのです。・・・・・それが何年も積み重なれば、経験値の差は2倍3倍どころではないでしょう。」と書いています。その言葉からもアトリエの子ども達は非常に価値の高い体験をしていると思いました。積木の活動の時は特にそう思います。
ある意味、和久洋三の積木はここまでこだわらなくてはいけないのかというくらいクレイジーな積木です。世界に並ぶ積木はないのですから、もはや商品ではなく作品です。本物であるということはそういうことなのだと思います。ここまでやるからこそ見えるもの、ここまでやらないと見えてこないもの、身につかないものが確かにあるのです。そしてその本物を見て、触れて、育ってゆくことで身につく能力は、繰り返しになりますが、代替えの出来ない非常に価値の高い力であると子ども達をみてきて確信しています。
そういうことを考えると6年生までのアトリエ体験で子ども達が身に着けてゆく文化資本は相当なものになりますね。是非、ご家庭でも豊かな童具環境を整えてあげて下さいね。
今回の積木の活動では、つくりたいものによってグループになったので、男の子も女の子も関係なく、年齢もバラバラ。そんな異年齢の子ども達が、話し合いながら協力してつくっている様子を見ているのはとても楽しい時間でした。
その中で水曜日に振替で来ていた年長さんのH君と、2歳から通っている2年生のY君が二人でロケットをつくっている姿はとても印象的でした。どちらもお家でも積木でよく遊んできた子達なので積木は得意ですが、いつもと違うクラスに緊張気味。2年生のY君がリーダーになり、年長さんのH君がついてゆく感じではじまりました。
二人で積んだ積木がある程度の高さになった頃、Y君がH君の肩を後ろからつぐっとかんだのです。「えっ何?どうしたの?」と思いながらH君の顔を見ると、H君も一瞬、びっくりしたようでした。その後Y君はにっこり笑い、積木とH君の顔をみて、「ほら、今H君と同じ高さやで(笑)」と言って頭をなでたんです。H君もにっこり。とても微笑ましい光景でした。
これは私達アトリエスタッフがよくやることです。幼児は、自分と同じ高さになると、とても喜びますから、「ほら、今○○ちゃんと同じ高さになったよ。」と必ず声をかけます。親子コピカのお母さん達もされていますよね。その時気を付けなければいけないのは、子どもが嬉しくなってしまい、高さを比べる為に顔を積木に近づけて積木を倒してしまう・・・ということです。ですから、私達は子どもの肩を後ろから持ってから言うようにしています。Y君は、小さい頃に私達からそうされて嬉しかったことを、H君にしてあげたのかなあと思いました。意識してやったことではなく自然とでてきた行動だと思いますが、自分より小さなH君を喜ばせてあげようとしたことが、とても嬉しい出来事でした。そして、Y君は私達から愛されていることを知っていたんだなあと思いました。
ロケットづくりは、殆どの子ども達が喜びましたので、感動が醒めないうちにお家での積み木遊びを楽しんでくださいね。
2019年11月②アトリエ講師 星野由香