球で遊ぶ・ボールで遊ぶ 比較とくりかえしでものごとを認識してゆきます
先週の親子コピカは、どの子も好きになる絵本「りんごがひとつ」を読んでから、ママボールを絵本にでてくるりんごに見立てて、雨どいのレールにころころころ。光がぱあっと差しこんできたかのように、喜びの表情が変わる子ども達。まさに、ぼくもわたしも、という感じでボール転がしがはじまりました。
point レールは単純にまっすぐにくみましょう。ジグザグにした方がおもしろいように思いますが、4歳くらいまでは単純なコースの方が喜びます。また、なるべく情報を少なくしてあげた方が、ボールの動きそのものに集中して、転がす力を変えたり、ボールをせき止めたり、レールを持ち上げたりして自分で工夫をはじめます。遊びの中に、子ども達が自分で発見する要素を残しておくのはとても大切です。
ひとしきり遊んでから、ママボールの色を黄⇒青と増やし、徐々にピンポン玉⇒カラーボールと種類を増やしてゆきました。とても単純な遊びに思いますが、どの子も夢中になって遊びます。夢中になって楽しむということは、集中しているということ。この単純なボール遊びの中で子ども達は、生きてゆくうえで必要な原理・原色的な物事のあり方をを直観してゆきます。
色の違いによって色彩を、素材には3つの特性(注)があることを、大きさや重さ、硬さ(密度)によって量をもちろん数を、弾む弾まない・音などの違いなどを、つまり、まず球体という形を知り、同じ球でも性状の異なるものに出会うことによって、同じ球(同種のもの)でもいろいろな個性があることを理解します。この比較作業は最初の分析作業となります。これらのことは球体だけでなく、他の形体にも同じことが言えます。 詳しくは入会キットの創造共育宣言をお読みください。
注 素材の3つの特性
① 海綿状の素材 = <ママボール>スポンジボールなど
② 固形状の素材 = <カラーボール>木球・鉄球など
③ 空洞状の素地 = ピンポン玉・テニスボールなど <>は童具館の製品
point 子ども達が、比較作業ができるように、はじめは主役のボールを決めましょう。同じものが二つ以上あることも大切です。それに対して重い・軽い・固い・柔らかいなどの違いがわかります。また、単純なものから複雑なものに、数は単数(1)からしだいに増やしてゆくのが自然のあり方です。数が増えると遊び方が変わってゆきます。
是非おうちでも色んなボールで遊ばせてあげてください。ボール遊びは四肢はもちろん、言葉の発達も促します。おうちの中でも遊べるママボールは、ご家庭において欲しいボールです。手ざわりが良いので持っているだけで安心するようですよ。
ボール遊びの後は、机で斜面をつくりロール画用紙を敷いて、はじめに遊んだママボールに絵の具をつけて転がしました。球には、立方体のように、角(点)・線・面の部分が見えませんが、絵の具をつけて転がすと線が、弾ませると点が、押し付けると面がでてきます。絵の具だらけになって楽しむ子ども達。手でボールに絵の具をつけることに夢中になっている子もいましたね。手に絵の具がつくのを嫌がる子も、それはその子それぞれ。無理にさわらせなくても子ども達はとてもよく見ているので大丈夫です。これまでアトリエの子ども達を見てきた経験では、4歳くらいになるとあまり気にしなくなります。汚れるのが嫌なのは変わらなくても、それよりも楽しくなって、集中すると、忘れてしまうようです。
親子コピカは毎週、毎週、子ども達の成長や変化があり、それは今しかない子ども達の姿であり、見ている講師も驚きと喜びの連続です。是非、お母さん達もアトリエを思いっきり楽しんで下さい。色々悩むこともあると思いますが、アトリエの共育という言葉は、親も講師も子ども達と共に育ってゆきましょうという意味です。あせらず、まよわず、ゆっくり待ちながら、共にそのままの子ども達の姿を見守ってゆきましょうね。
※来週の活動はお料理ですので、エプロンをお持ちください。
2018年4月②アトリエ講師 星野由香